発達障害の対応
「発達障害の子どもにはどのように対応したらよいですか?」「発達障害の子どもの子育てでやったほうがいいこと、あるいはやってはいけないことはなんですか?」と親御さんから聞かれることがあります。この質問に一言で(特に初診時には)答えるのは不可能です。なぜなら、例えばASDと診断されても、持っている特性、苦手なことや困っていること、現在の親の対応、さらにはもともとのその子の性格等、患者さんごとに全く異なるからです。
ですので、そのような質問を受けた時には、「まずは、親や周りの人がASDやADHDについて学び、自分の子どもにはどの辺があてはまるのかを考え、特性を理解することから始めましょう」とお伝えしています。ただ、我が子のためになにかできることはないかと切実な思いで受診された親御さんにとって、そのような説明はもどかしく感じることも多いようです。そこで、子ども自身の特性や子どもをとりまく環境によってケースバイケースと言えども、そこに共通の「これだけはやりましょう」という鉄則のようなものを、なんとか親御さんにお伝えできないか、考えてみました。

ASD・ADHDなど発達障害全般に共通する原則
・生活の主導権は親が持つ(寝る時間、起きる時間、ゲームの時間など)
・子どもの苦手なことやできないことについて、子ども自身の能力を伸ばすのではなく、子どもの今の能力で、子どもが困らず、家族が楽しく生活できることをまずは目指す
・親自身の「こうあるべき」の大半は手放す:子どもは親の分身ではない。親と全く違う考え方を持った人間だと考えておくほうが良い
・子どもと約束したこと(子どもにとって良い事でも悪い事でも)は、必ず実行する
ASDに関する原則
コミュニケーションが苦手で困っている場合:コミュニケーションが嫌にならないのが大切(コミュニケーションが好きになるとは限りませんが)!
・子どもに考えさせて答えを言わせるのではなく、どう言えばよいのかどうすればよいのかを親がその都度教える
・困っていることを親や教師など、周囲の人が推測する
・子どもが話をしている時には自由に話をさせる。つじつまが合わなくても追及しない
こだわりや感覚過敏で困っている場合
・個々に対応・相談
ADHDに関する原則
・まずは、ペアトレを学ぶ:当院HPを参照(現在準備中)
多動性衝動性で困っている場合
・動き回っても安全で、不要な物を排除した環境をセッティングする
不注意で困っている場合
・指示は一つだけ。やって欲しいことは今、一緒にやる